2週間ほど前 どうにも鰻が食べたくなって どこか良いお店がなかったか・・・と記憶をたどり
向ケ丘遊園駅北口商店街に 随分昔に立ち寄った店を思い出した。 暑い日だった。 人通りのほとんどない商店街を どこだっけ~ とキョロキョロ。 何でもないたたずまい 大衆食堂かとも思えるその店「登喜和」 「そうだこの店だ 随分古ぼけ(うらぶれたと言ってよい)たなぁ~ こんなんだっけ」 そう思いながら引き戸を入ると 1時頃なのに店内にお客はだれもいない。 がらんとした店内 さてどこに座ろうかと迷っていると かっぽう着のおばちゃんが「いらっしゃいませ こちらにどうぞ~ ここが涼しいから・・・」 「ごめん 冷房の当らないところがいいんだ」 「じゃあ こっちだね どうぞ~」 メニューを見ると 今時の鰻屋さんとしてはどれも安価だった。 ちょっとホッとして うな重とうな丼と迷う。 「決まりましたか?」 「ああ うな丼ください」 なんとなく口に出た。 明らかに今注文した鰻を焼いている香りに満足しながら お茶をすすり店内の飾りものをあれこれ見る。 店は 湿っぽく 繁盛してる様子はなかった。 鰻は 柔らかすぎず 皮の焼けた香ばしさもあって たれはあまり他で味わったことのない辛めな感じ 満足だった。 そして今日 今度はお重を頼んでみようと やはり暑い昼下がりお店に向かった。 「あれ? この辺だったよな~」 鰻ののぼり旗がなかったのだ。 蕎麦屋さんまで行って振りかえると シャッターの上に「登喜和」とある。 「休みか~ ついてないなぁ~」とシャッターの貼り紙を何気に見ると 「当分の間休業します」 の一言が書かれていた。 何ともさびしい気持ちで となりの蕎麦屋に入った。(その蕎麦屋もなかなかでした) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 近くでは 気に入った鰻屋が2軒あった。 両方とも 屋号を忘れたが その両方ともに今は無い。 1軒は 登戸橋の東京側 多摩川の堤防沿いにちょっと入ったところにあった。(35年ほど前) おじいさんとおばあさんの二人で営む小さな鰻屋さん。 いつ行っても 他のお客に出会ったことがなかった。 が 実に美味しい鰻を食べさせてくれた。 私が名古屋出身だと言うと わざわざ鰻を裂き 生(蒸さないで)を焼いてくれた。 その店がなくなって しばらく後 よく行ったもう1軒は 新百合ヶ丘。(25年ほど前) これも小さな店だったが 主人は私より若い人だった。 やはり 蒸さないで生を焼いてくれた。 土日に行くと怒った。 「土日はね 前日に仕込んだものしかないんだ。 他の日に来てよ~」だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 仕事場が麹町だったので よく行ったのは「秋本」 麹町の鰻というと 人は決まって「丹波屋」(今は無い)と言ったが 私は「丹波屋」には1度しか行っていない。 私は 誰がなんと言おうと「秋本」だった。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 三軒茶屋でぶらり見つけたのが「花菱」 やはり路地の小さな店だが 当時(20年ほど前)おばあさん姉妹がやっていて 姉おばあさんが 団扇をパタパタさせ鰻を焼く姿がなんともかわいかった。 やはり 私には蒸さない生を焼いてくれた。 今は 息子さんの代になって 大変な有名店になっているようだ。 息子さんの代になってからは 2度しか立ち寄っていない(混んでて入れなことが多かった) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 結構お世話になったのは 珈琲屋でいえばドトール 鰻の「登亭」 新橋店と新宿店 私は ここの「鯉こく」が食べたくて 結構利用した。 新宿店では 隠居老人がネクタイ締めて 独り黙々と食べる姿をよく見かけて なんだかその光景を見るのが 寂しくもあり かわいくもありだったが 今 私が独りで行けば ネクタイこそしていないがその風景になる。 (だから 最近は行かない) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 私の父が住んでいるのは 名古屋郊外・江南というところ 昔は 機織り工場が多くあり 町中女工さんであふれたと聞く。 伊勢湾台風以後 東名・小牧インターが近いこともあって工業団地となったところだ。 私の父も その関係で会社・自宅をその地に移した。 その土地は 不思議に美味しいものが多く 様々な老舗も多い。 私が帰郷(私の生まれ育った所ではないので帰郷という感じではないが)すると 必ず行く 鰻屋がある。 それも畑の広がる街道筋に 大きな構えの店だ。 「ひつまぶし備後屋」 駐車場には 名古屋ナンバーを始め 岐阜・三重・三河など随分遠くからの車も多い。 親に会うではなく その鰻を食べに行きたいくらいで 息子たちも 時々思い出したように「あの鰻食べたいなぁ~」と言う。 この畑の中の店が本店で 最近知ったのだが 銀座マロニエを始め東京にも何軒か支店を出しているようだ。 本店と同じ味で出しているかどうか 一度覗いてみようと思っている。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 高価で美味しいは当たり前 (麹町・秋本はそれなりにちょっと高価だが その価値あり) リーズナブルな鰻を求めて また ぶらぶらしてみようと思うのだが ぶらぶらにも時間と金がかかる。 それなりに鼻を効かせて入るにしても 気に入る店は10軒に1軒だろうから ・・・・。 そんな体力は もうなくなった。
by jam909jam
| 2012-09-08 04:51
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