<< 四人 と ひとり 音楽はいいね John Col... >>

オリジナルとスタンダード

  ボクは 高校卒業後 留学が決まっていて 普通に進学しなかった。 しかし 事情があって その留学が無いものとなり途方に暮れて その後どうするか考えなきゃならなかった。 友人は皆進学し いわゆる浪人でもなく ただただ うろうろするばかりだった。 
  そんな時 名古屋の繁華街・栄町地下街にあった画材屋さんが 自社の持つ画廊で展覧会をしてみないかと声をかけてくれた。 急きょ空きになってしまった会場をとに角埋めたい・・・といったことで 制作時間もなかった。「どうしたらよいか?」考えた末 3×6のペニヤを10枚も並べれば何とかなる・・・と 親に相談し ベニヤを購入(名古屋は ベニヤ生産の本拠地でもある)。 ただのベニヤ10枚を庭に並べ どうしたものか? と頭を抱えた(笑) どうしてそうなったのか 覚えていないが 白い石膏を塗りたくり そこに大きな墨流し模様を作りたいと思った。 「偶然に出来る美しさ」に頼るしかなかった。 しかし それも不可能と知り 思い付いたのは 石膏が渇く前に油性のペンキを流すというものだった。 分離しながら出来る模様に感激した。「これだ!!」夢中で10枚を作った。 どうやって運んだのかも覚えていない。 何点か 展示会場で石膏が崩れ落ちてしまったが その崩れた感じも素敵で とても満足だった。 崩れ落ちた石膏は 会場にお願いしてフロアーにそのまま いい空間だった(自己満)
  それがきっかけになって 画材屋さんに可愛がってもらった。 後日 その画材屋さんの紹介で 名古屋駅前のデパートのカバン売り場に机を置き 当時売り出されたコンパクトに収納持ち歩きが出来る布製のカバンの売り出しの一環として お客さまの要望に応えその場でバックに絵を描くというアルバイトをすることになった。 道具は 当時出来たばかりのカラーマジックだった。 スケッチブックに 自分なりにオリジナルの絵をいくつか描いて見本とした。 絵を描いてギャラをいただいた初めての経験だった。 若いってことは 怖いもの知らず 無茶をするものだ。 しかし今考えると よくまあそんな若造に デパートもカバンメーカーも大切な仕事をさせたものだと 驚く。
  次々と 結構な数を描いた。 当時のお客さんは 幸い優しい人が多かった。 ほとんどの人が喜んでくれた。 しかし 今もはっきり覚えている 焦り・上気し・体がこわばり・手が震え 仕上がりに頭を下げた2件の事がある。
  それは 上品なおばちゃまだった。 「パリの風景を描いてくれる?」「え!?パリですか?」「そう どこでもいいわよパリなら」「すみません ボクはパリを知らないので 何か他のものではダメでしょうか?」「ダメ! パリの風景がいいの!」「資料を持ってきますので お時間いただけますか?」「私急いでるの すぐに描いて~!」「凱旋門か エッフェル塔とか・・・」「そう それでいいわ」何となく 写真を見 絵を見ているエッフェル塔の風景 それなら描けるかもしれないと思って描き始めたが 描きながら自分のイメージとも違う 描けない・・・焦った。 でも 手は動いていて どんどんイメージと異なる風景になって行った。 「何描いてるの? それエッフェル塔じゃないわね~」「すみません。ボクもそう思います。やはり描けません」「あはははは 良いわよ~ エッフェル塔って言わなきゃいいんだから あはははは」優しくも 意地悪なおばちゃまだった。
  またある時 小さな子ども連れのお母さんが ニコニコやってきた。 「お願いします。何を描いていただこうかしら」と子どもを覗きこむ「ドナルド~~!」「ドナルドダック? 好きねぇ~ ジャお願いしようね。お願いできますか?」「はい!」ボクもニッコリ元気に応えた。 さて描こうとしたが これがまた どうにもドナルドに程遠い。 イメージはあり 頭にあって 当然描けると思っていた。 しかし ・・・。 子どもが相手 これじゃダメだと思ってカバン売り場の店員を呼んだ「本売り場に行って ディズニーの本を借りて来てよ 急いでよ~!」お客には 正直に言った「描けると思ったけど ドナルドのしっかりした形が解らなくなってしまって 今 本を借りてきますので少々お待ち下さい。描き直しますから」「はい 結構ですよ お待ちします。じゃ ちょっと他を歩いてきます。よろしくお願いしますね」 ホッとした。 しかし「ディズニーの本が無いんです」と店員が戻ってきた。「うっそ~ 無いことは無いだろう」「それが 無いんです」(1960年頃 当時はそんなに無かったのかもしれない)ドナルドを思い出しながら 何度もスケッチブックに描いた。 でも どうしてもドナルドにはならなかった。 涙が出そうになった。 がっかりする子どもの顔が浮かんだ。 お母さんが帰ってきた。 「すみません ドナルドの本が見つからなくて どうにも・・・」「あらぁ~ そうなの~~ ○○ちゃんドナルドがいないんだって 何でもいいわね ね さっき描かれたあれでいいわ」「えっ! あれでいいんですか? だって どう見てもドナルドじゃないし・・・」「いいのいいの ○○ちゃん 可愛いわね これでいいわね」そう言って素早くバックを受け取り「お世話になりました。ありがとうございました。頑張ってね!」とニコニコ立ち去ったのだ。 あの時 ニコリともせず何とも言えない顔を残したあの子に 未だに申し訳ない気持ちだ。


先日 あるTV番組で著名なミュージシャンが笑いながらこう言った。「オリジナル曲はいいよ~ 間違っても聴いてる人に解らない」
オリジナル曲もよいけれど ふっと誰もが知るスタンダードな名曲を個性的にアレンジして聴かせてくれた時 ニンマリ嬉しくなる。
クラシックの人が 何かの時 ポロッとPOPな曲を聴かせてくれる。
JAZZマンが しっとりとクラシックの名曲を演ずる。
Rockなバンドが 突然「スタンド・バイ・ミー」を真面目に演奏し唄う。
誰もが知るものをいつでもどこでも出来る ってのはプロの武器でもある。
著名なミュージシャンが 路上ライブに遭遇し 突然加わって普段の姿と異なる姿を見せるYouTube動画は 嬉しく楽しい。

*写真は借り物
 
e0093537_1312749.jpg

[PR]
by jam909jam | 2016-06-30 13:18 | ◆独り言
<< 四人 と ひとり 音楽はいいね John Col... >>